寒露 蟋蟀戸にあり

石庭 雑記(二十四節気など)

10月8日は寒露です。白露のとき時期が早いと感じましたが、この寒露も早すぎます。涼しいとはいえここで寒の字を使うのは早いかと。

蟋蟀(しっしゅつ)とあるのはコオロギのことです。キリギリスのこととする場合もあります。というのは、昔はコオロギをキリギリスと呼んでいました。キリギリスのほうは機織り虫と呼ばれていました。『枕草子』に「虫はすずむし、ひぐらし、ちょう、まつむし、きりぎりす、はたおり(がよい)――」とあります。このきりぎりすがコオロギ、はたおりがキリギリスであると考えられています。「こほろぎ」という語はあったのですが、鳴く虫全般をさしていたようです。
キリギリス(螽斯)は夏の虫ですから、ここでは季節にあいません。「ギーー」と鳴きます。よく「ギーッチョン」といわれる鳴き方です。この鳴き方が機織りをしているようだといわれたのです。
コオロギは「コロコロ」「リロリロ」と連続音で聞こえます。秋を感じる音色です。
中国ではコオロギを闘わせて遊んだり、金を賭けたりする風習があり、秋、特に寒露のころの行事でした。

秋深くなりにけらしなきりぎりす 床のあたりに声聞こゆなり (花山院)

むざんやな 甲(かぶと)の下のきりぎりす (松尾芭蕉)

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