小雪 橘はじめて黄なり

石庭 雑記(二十四節気など)

令和元年11月22日は小雪です。令和二年も同日で11月22日です。
地域によりますが紅葉が見ごろとなります。

ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くくるとは (在原業平/百人一首)

もみじによって川が染まっていることを表しています。唐紅(韓紅)と深紅の美称が使われ、神代にもなかったというのですから絢爛な詠みぶりですね。

橘(たちばな)の実が黄色くなる時季とあり、これは季節にあっています。橘は日本固有のミカン科の植物です。実がきれいに色づくので観賞されましたし、おそらく食べることもあったでしょう。ただし酸味が強いので今の蜜柑のような感覚では食べられません。
常緑であることから縁起の良い樹として好まれました。

橘は実さへ花さへその葉さへ 枝(え)に霜降れどいや常葉(とこは)の樹 (聖武天皇)

果実は不老長寿の実とされ、その花の香はかわらぬ恋心の隠喩として歌に詠まれました。

橘のにほふあたりのうたた寝は 夢も昔の袖の香ぞする (藤原俊成女(むすめ))

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