ことばの話題 横書きの読点 形容詞+「です」

石庭 雑記(二十四節気など)

 ことばの話題を二つ。

横書きの読点

 横書きの読点は「,」か「、」かについて。まず、一般の文章ではどちらでも間違いではありません。公文書においては、横書きの読点はコンマ「,」とするよう、昭和27年(1952年)に出された「公用文作成の要領」にあります。横書きの教科書などがコンマ「,」を使用していることもあり、横書きのときは読点はコンマなのだと認識した人もいるかと思います。2021年から2022年の動きとして(おそらく研究者にはその前から意見はあったものと思われますが)、公文書についても横書きの読点を縦書きと同じ「、」にすべきという提言が文化審議会によりなされ、今後そのように変わっていくようです。それにともない、一般の横書きの読点も「、」が主流となっていく可能性が高いと思われます。

形容詞+「です」

 形容詞にそのまま「です」をつける言い方は、今では浸透しているのでよくみかける表現ですが、中には違和感を感じる人もいるようです。「おいしいです」「危ないですから~」などの表現はよく聞かれます。
 形容詞に「です」をつける言い方は東京弁にはなく、明治のころは田舎くさい喋り方でした。今の言い方で言えば「ダサかった」わけです。「です」は「だ」の丁寧形なので、「おいしいです」は「おいしいだ」と言っていることになります。東京の人はこういう言い方をしていませんでしたが、地方出身者の一部に「おいしいだぁ」「うめぇだす」と喋っている人もいたのです。
 戦前の国定教科書では、形容詞の直後に「です」は使えず、例外として「でしょう」はつけてよいとされていました。「おいしいでしょう」は標準語の表現としてよいわけです。形容詞を丁寧形にしようとすると「おいしゅうございます」しか認められませんでした。
 戦後の昭和27年(1952年)、国語審議会が、形容詞+「です」を平明な形として認めるとしました。ですので公にも使ってよいことになったのですが、この表現に違和感を感じる人と感じない人が混在する状態になってしまいました。しかも複雑なのが「ですね」とした場合は違和感を感じる人がかなり少なくなるようです。「おいしいですね」「美しいですね」がよいのであれば、「ね」がついただけですから「おいしいです」は認めないといけません。将来的には言い切り型の形容詞+「です」も違和感のない人がもっと増えると予想されます。このような経緯から、形容詞+「です」は必ずしも使ってはいけない表現というわけではありません。

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