雨水 霞はじめてたなびく

石庭 雑記(二十四節気など)

令和二年2月19日は雨水です。令和三年では2月18日です。降水が雪から雨に変わるとされます。春の気配があります。

霞(かすみ)は解説すると少し複雑です。まず元々は朝焼け・夕焼け、または朝焼け・夕焼けが雲に映えている様子をさしていました。また霧(きり)のような気象現象もさしており、霞は春霞というように春と結びついて使われるようになりました。「霞たなびく」というときには水蒸気が満ちてきて視界の一部を遮っている印象があります。つまり冬ではなくなってきたというわけです。
ただし、現代気象用語として霞(かすみ)というものはありません。気象庁では、空気中の水滴による遮蔽で視界が1kmない現象を霧(きり)としています。1km以上見渡せている現象は靄(もや)です。
霞(かすみ)は煙のように水滴ではないもので視界が遮られている現象に使ってもよく、意味の幅が広いのです。黄砂などによって視界が悪いことも考えられます。実際、春霞といわれる現象には黄砂も含まれていたと思われます。

さて春というと下の歌が有名です。

東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春を忘るな (菅原道真)

または

東風吹かば匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて春な忘れそ (菅原道真)

東風は「こち」「とうふう」「ひがしかぜ」と読めます。これは雅語としては春風を指します。春風は南風では? とも思われます。古く中国の考え方では、春と東、夏と南、秋と西、冬と北を結び付けます。またそれぞれに青・朱・白・黒(玄)をあてて青春・朱夏・白秋・玄冬と呼びます。こういった対応関係の思想から東の風は春の風とされます。
道真の歌は、梅、春、東風、都の風(大宰府から見て東)と連想が繋がる名歌です。梅と大宰府のゆかりは「令和」の出典にもなっています。
場所や種類にもよりますが、二月は梅の見頃です。

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